妊娠中の鍼灸治療における禁忌事項
妊娠中の鍼灸治療は、適切に行えばつわりや腰痛、むくみなどの緩和に役立つことがあります。しかし、妊娠中は母体と胎児への影響を考慮し、特定の経穴(ツボ)や手技には注意が必要です。以下に主な禁忌事項をまとめます。
1. 刺激を避けるべき経穴(禁忌穴)
特に流産や早産のリスクを高める可能性があるため、以下の経穴は強刺激を避けるべきとされています。
• 下腹部の経穴
⇒中極、関元、石門など(理由: 子宮に直接的な刺激を与える可能性があるため)
• 腰仙部の経穴
⇒腰陽関、命門、八髎穴など(理由: 子宮の収縮を誘発する可能性)
• 下肢の特定の経穴
⇒三陰交:子宮収縮を促進する作用がある
⇒合谷:陣痛促進の作用があるとされる
⇒ 至陰:逆子治療では使用されるが、安定期以外では注意が必要
2. 禁忌となる手技
• 強い刺激や深刺し
⇒妊娠中は感受性が高まっているため、強い刺激や深刺しは避ける
• 電気鍼(低周波治療器)
⇒子宮への刺激や胎児への安全性の観点から慎重に使用する
• 灸の過度な熱刺激
⇒熱感が強すぎる場合、母体へのストレスとなる可能性がある
3. 妊娠期間ごとの注意点
• 妊娠初期(1〜12週)
流産のリスクが高い時期。全身への強い刺激は避ける
• 妊娠中期(13〜27週)
安定期ではあるが、腹部や腰部への直接的な刺激は避ける
• 妊娠後期(28週以降)
陣痛を誘発する可能性のある経穴への刺激は慎重に行う
4. 注意が必要な症状・状態
以下のような症状がある場合は、鍼灸治療を控えるか医師と連携する必要があります。
• 出血(不正出血、切迫流産・切迫早産の兆候)
• 強い腹痛
• 高血圧、妊娠高血圧症候群の疑い
• 前置胎盤や胎盤剥離の疑い
• 重度の貧血や感染症
まとめ
妊娠中の鍼灸は安全性を最優先し、禁忌穴や禁忌手技を避けることが重要です。
また、産科医との連携を密にし、異常の兆候がある場合は速やかに医療機関への受診を促すことが大切です。
必要であれば、さらに詳細な情報や具体的な症例に応じたアドバイスも提供できます。
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