こんにちは、皆様、尺骨神経麻痺というのをご存知でしょうか?
まずは、どんな病気か知っていきましょう
尺骨神経のはたらきは
・手首の屈曲(正中神経と共同で行います)
・小指と薬指の屈曲
・親指を人差し指の根元にぴったりつける運動(内転)
・親指以外の4本の指を外に開いたり(外転)互いにくっつけたりする運動(内転)です。
知覚神経は小指、薬指の小指側半分と手のひらの小指側半分を支配します。
尺骨神経には2カ所、圧迫を受けやすい部位があります。
最も多いのは肘関節部で、机の上で肘をついていて手がビリビリした経験は多くの人がもたれていると思いますが、その部位を長時間にわたって圧迫したり、無理に肘を曲げる姿勢をとることで症状が現れ、肘部管(ちゅうぶかん)症候群と呼ばれます。
リウマチや肘の骨折などで肘関節に変形のある場合には、とくに誘因がなくても圧迫症状が起こりえます。
次に多い圧迫部位は小指側の手のひらで、長距離自転車選手、繰り返す腕立て伏せ、タイル張りなど長時間の床仕事などで手のひらを圧迫することにより症状が現れ、ギオン管症候群と呼ばれます。
そして症状の現れ方ですが
尺骨神経が侵されると、小指と薬指が伸びにくくなったり、親指以外の4本の指での内外転と親指の内転ができなくなります。
日常生活で気づくことには、ポケットに手を入れようとすると小指が引っかかってしまうこと。
親指と人差し指でものをはさむ力が弱くなることなどがあります。
また小指と薬指にしびれや感覚障害を起こします。
尺骨神経麻痺
- ◎かぎ(鉤)爪変形(鷲手変形):
- 尺骨神経麻痺で手内筋が萎縮し、特に環指・小指の付け根の関節(MP関節 中手指骨関節)が過伸展し、第1・2関節が屈曲した形になります。
- これをかぎ爪変形といいます。
尺骨神経は、小指と環指小指側1/2の掌背側の感覚と前腕の尺側の感覚を支配し、前腕部では手首の屈曲(曲げること)、手指の屈曲
さらに手部では母指(親指)の付け根の筋肉(母指球筋)以外の手の中の筋肉のほとんどを支配しています。
尺骨神経と尺骨動・静脈が一緒に手首の尺屈側にあるギヨン管を通過します。
症状
尺骨神経の傷害がどこで生じているかによって症状が異なります。
肘より上のレベルの外傷による傷害では麻痺の程度はさまざまですが、前腕の尺側と小指・環指小指側1/2の掌背側の感覚障害と環小指の屈曲障害、母指球を除く手の中の筋肉が麻痺し巧緻運動障害が生じます。
かぎ爪変形も生じます。
ギヨン管部での症状は、感覚障害だけのもの、第1指間のみがやせて感覚障害がないものなどいろいろな症状を呈します。
原因と病態は
原因
尺骨麻痺の原因は、開放創や挫傷(ケガ)、骨折などの外傷、肘部管症候群やギヨン管症候群などの絞扼性神経障害、腫瘍・腫瘤(ガングリオン含む)などにより生じます。
病態
外傷などで尺骨神経が切断、牽引、挫滅などの傷害を受けることがあります。
肘部管症候群は代表的な絞扼性神経障害の1つです。
ギヨン管症候群は分岐した尺骨神経深枝が小指球筋基部を潜って行く際に障害が生じ、いろいろな症状を呈します。
診断
感覚の障害がある時は、皮膚の感覚障害が尺骨神経の支配に一致していて、Tinelサイン(神経傷害部をたたくとその支配領域に疼痛が放散する)があれば傷害部位が確定できます。
手内筋の筋萎縮による母指球筋以外の筋萎縮とかぎ爪変形があれば診断可能です。
Froment(フローマン)サイン(両手の母指と示指で紙をつまみ、反対方向に引っ張る時に母指の第1関節が曲がれば陽性)が陽性になれば診断がつきます。
確定診断には、筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査など必要に応じて行います。
治療
骨折や脱臼などの外傷や腫瘤によるものは早期に手術が必要です。
回復の可能性のあるものは保存的に治療をします。
3ヵ月ほど様子を見て回復しないものや麻痺が進行するものでは手術が必要になります。
保存的療法
安静、薬の内服、リハビリテーション
基本的には、症状を緩和させつつ、時間が経つにつれて自然と回復するのを待つのです
薬は、鎮痛薬やしびれをやわらげる薬が処方されることが多いようです
リハビリテーション
・筋力トレーニング
・指をうまく動かす練習
・関節が固まらないように曲げ伸ばしをする練習などが行われます
*何か気になることがあればいつでもご相談くださいね*