首の寝違えの原因・治し方を解説!湿布とストレッチ、どっちがNGか知ってる?
多くの方が経験したことのある「寝違え」。
しかし、正しい対処法を知っている人は意外と少ないかもしれません。
湿布やアイスパック・ストレッチといった自己流の対処方法のなかには、かえって症状を悪化・治りにくくさせるものも。
そこで今回は、寝違えの正しい原因・治し方・予防方法
「寝違え」の原因は軽度の肉離れ!
●寝違えとは?
一般的に「寝違え」と呼ばれる症状の多くは、首周辺の筋肉が軽度の肉離れを起こしている状態を指します。
人間の頭部は、正面から見た首の幅に対して中間の位置にあるのが望ましいのですが、睡眠中はどうしてもその位置からずれがちです。
長時間にわたって首がおかしな方向に曲がったままになっていると、首の筋肉が部分的な阻血状態になり、筋肉も凝り固まりやすくなります。
そのような状態で起床時に急に頭首を動かすと、寝違えが発生するのです。
例えば運動をするとき、ストレッチをせずにいきなり激しい運動をしたら筋肉を傷めてしまいますよね。
それと同じで、睡眠中に凝り固まった筋肉をいきなり動かすと、軽度の肉離れが起きるのです。つまり寝違えは、寝ているときに生じるわけではありません。
寝違えの原因は睡眠中に作られますが、寝違えの炎症が発生するのは起床時なのです。
●傷めたのは筋膜?中心部分?
実は寝違えにも種類があります。
筋膜を傷めているケースと、中心部分を傷めているケースです。
例えば、首を右に回したときに左側が痛ければ、筋膜(筋肉の表面を覆う膜)が傷ついている可能性が高いと言えます。
反対に、首を右に回したときに右側が痛ければ、筋肉の中心部分が傷ついている疑いが。
前者の方が痛みは強く、治りにくい傾向があります。
「寝違え」のなかには、神経痛やねんざのケースも
ご紹介したとおり、寝違えの多くの原因は軽度の肉離れですが、まれに頸椎に神経痛やねんざが発症しているケースもあります。
●神経痛の場合
末しょう神経が圧迫されることで、痛みやしびれ・まひが生じるのが神経痛です。
不自然な姿勢で寝ていたことで頸椎(けいつい)周辺の神経が圧迫され、神経痛になることがあります。
首から肩や腕・手指に痛みやしびれがある場合は、神経痛が疑われます。
●ねんざの場合
ねんざとは、関節のじん帯や腱(けん)・軟骨などが傷つくケガのこと。
例えば、睡眠時に頭が極端にのけぞった状態になっていると、頸椎がねんざすることがあります。
ストレッチ・アイシングはNG!? 寝違え直後にやっていいこと・ダメなこと
●寝違えた直後にするべきこと
朝起きて「寝違えた!」と思ったら、とにかく楽な位置から首を動かさないことが大切です。
痛みが出てから48時間程度は、消炎鎮痛成分が入っている冷湿布を貼るのもおすすめ。
ただし、長時間貼るのは避けてください。
目安は1時間程度です。
●むしろ炎症を悪化させるおそれも……寝違えた直後にやってはいけないこと
「とりあえず動作確認しよう」と、首を左右前後に倒してみたり、手で触ってみたりするのは良くありません。寝違えは炎症、つまりケガです。
なるべく動かさない・触らないようにしてください。
痛みや違和感を治そうと、首のストレッチをしたりもんだりするのもNGです。
また、アイスパックや氷のうを使って長時間冷やすのもおすすめできません。
アイシングをすると、一時的な鎮痛効果は得られます。
その一方で筋肉の血流が悪化するため、損傷部位の回復が遅くなる可能性が考えられます。
また、筋肉ではなくじん帯や神経を傷めている場合は、炎症が首の奥深い部分にあるので、冷やしたところで鎮痛効果が期待できません。
このほか、炎症を起こした直後は温めるのも良くありません。
患部は熱を持っているため、温めると炎症を助長させてしまうおそれがあります。
温湿布やカイロを使って温めるのはもちろん、湯船につかるのも避けたほうがいいでしょう。
寝違えた直後は一時的に冷やすのはOKですが、長期的に冷やすのはNG。
温めるのは、痛みが治まる安定期までNGと覚えると良いでしょう。
寝違えを早く治す方法はある?治し方の基礎知識
●早く治すためのコツ・ポイントは?
初期段階は、とにかく安静にしましょう。
「痛い」と感じる動作は避けてください。
傷ついた組織を修復するためには、これ以上の治療はないとも言えます。
痛みが和らぐ安定期に入ったら、血流を良くして回復を促しましょう。
血流改善には、温める・ストレッチをする・マッサージをするなどいろいろな方法があります。
どの方法が適切かは病態によって異なるため、専門家の指示に従うように。
●痛みが強いときはどうすればいい?
首の痛みが強くてつらいときは、身の回りにあるタオルやマフラーを首の周りにグルグル巻いて、「顎置き」を作ると楽になります。
顎を安定させることが目的なので、首が苦しくなるほどきつく巻く必要はありません。
仕事の都合などで首にタオルやマフラーを巻くのが難しい場合は、腰にコルセットをつけるのがおすすめです。
腰にコルセットをすると背骨がまっすぐ伸びるので、首周りの筋肉に負担がかかりにくくなるのです。
●病院は行くべき?
極端な話ですが、寝違えは放っておいてもいずれは治ります。
もしも、できるだけ早く治したいというのであれば、専門医を受診するといいでしょう。
ただし、あまりに頻繁に寝違えを起こしているようであれば、一度検査と治療を受けることをおすすめします。
首の骨が本来あるべき位置からずれていて(いわゆるストレートネックなど)、首周りの筋肉を日常的に圧迫している可能性があるからです。
酔ったまま寝ると寝違いやすい!? 4つの寝違えの予防方法
寝違えの原因は、睡眠時に作られます。
つまり予防のためには、就寝環境の改善が要になってくるのです。
●適度に寝返りが打てるよう、寝具を整えよう
実は、寝相の良い人は寝違えやすいと言われています。
寝相の良い方は、就寝中に姿勢があまり変わっていない可能性が高く、筋肉・血流が凝り固まりやすいからです。
就寝時の姿勢と起床時の姿勢があまり変わらない方・寝相が良いと人から言われる方は、自然な寝返りを促す就寝環境を作るようにしましょう。
例えば、マットレスは硬めのものがおすすめです。
低反発や柔らかい素材は寝返りが打ちにくくなるので、避けましょう。
●首に負担がかからない高さの枕を使おう
枕は、頭が本来あるべき位置(曲がっても反っても横に倒れてもいない位置)に来る高さのものを使いましょう。
あまり寝返りを打たない人でも、枕の位置を正しくセッティングするだけで寝違えのリスクは随分減ります。
●寒い環境で寝るのは避けよう
寒い環境で寝ると、血流悪化・筋肉硬直しやすくなります。
冬場はもちろん、夏場もクーラーで冷やしすぎないように気をつけましょう。
●泥酔状態・過度に疲れた状態で寝るのは避けよう
お酒を飲んだ後は寝違えが起こりやすいと言えます。
その理由はふたつ。
ひとつは、筋肉内の血流が低下しやすくなること。
もうひとつは、酔っていると感覚が鈍くなるため、寝返りの回数が激減することです。
また、過度に疲れているときにも、お酒を飲んだときと同じことが起きやすくなります。
飲酒後やいつもより疲れているときは、寝る前に経口補水液などでミネラル分を補給するのがおすすめです。
ミネラル分摂取は血流の低下を防ぎ、寝違えの予防につながります。
まとめ
寝違えは安静にしていれば自然に治りますが、痛みが出ている数日間はとてもつらいものです。生活や仕事に差し支えのないよう、寝違えたときの正しい対処法・治し方をぜひ覚えておいてくださいね。
寝違えを起こしやすい人は、就寝環境を整えたり接骨院で骨のゆがみを矯正したりして、予防に努めましょう。
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