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「膝が伸びにくい?スクリューホームムーブメントが原因かも|原因と改善法を解説」
2022.04.06
スクリューホームムーブメント(SHM)とは?
1. 定義とメカニズム
- 定義:膝関節を完全伸展したときに、脛骨が大腿骨に対して約10°外旋する現象。
- 起因:大腿骨内側顆の関節面の形状が長く曲面であることにより、脛骨の動きが誘導される。
- 補助要因:前十字靱帯(ACL)の緊張により誘発される回旋運動

2. SHMの機能的意義
- 膝のロッキング機構:立位時に膝を安定化させるために重要。省エネルギーでの姿勢保持を可能に。
- 完全伸展から屈曲へ移行する際は、膝窩筋(popliteus)が下腿を内旋させてロックを解除。
3. SHMに関与する解剖学的構造
3-1. 骨形態
部位 |
特徴 |
大腿骨内側顆 |
曲面が長く、安定性が高い |
大腿骨外側顆 |
幅広く高く、動きが大きい |
脛骨内側関節面 |
凹面で安定性が高い |
脛骨外側関節面 |
平坦で自由度が高い |
3-2. 靭帯
- 前十字靭帯(ACL):脛骨の前方移動・内旋に対抗 → SHMで伸張される
- 内側側副靭帯(MCL):膝伸展時に緊張し内側関節面を固定する
- 外側側副靭帯(LCL):伸展時に緩む → 外側が自由に動く構造に
3-3. 半月板とIFP(膝蓋下脂肪体)
- 内側半月板:動きが少なく、内側側副靭帯と連続
- 外側半月板:膝伸展時に前方へ移動しやすい
- IFP:半月板や靭帯と連動し、動きが制限されると伸展も制限される
3-4. 筋肉
筋肉 |
SHMへの影響 |
半膜様筋・腓腹筋内側頭 |
内側の動きを制限、伸展制限に関与 |
大腿二頭筋・腓腹筋外側頭 |
外側の後方移動を制限、SHMを妨げる |
鵞足筋群(縫工筋・薄筋・半腱様筋) |
内旋を促す、短縮すると外旋制限が起きる |
4. SHMが制限される原因とその影響
4-1. 関節変形
- 変形性膝関節症(OA)では、関節裂隙の狭小や骨棘により回旋運動が制限される
4-2. 半月板損傷
- **MMPRT(内側半月板後角断裂)**では、SHM中の滑動が阻害され、クリック感や伸展制限が起こる
4-3. 筋の短縮や癒着
- 上記の筋肉に短縮や柔軟性の低下があると、正常なSHMが妨げられる
5. SHMの評価と治療
5-1. 評価
評価対象 |
方法 |
関節変形 |
X線評価(KL分類) |
靭帯 |
前方引き出しテスト、外反ストレステスト |
半月板 |
McMurrayテスト、圧痛評価 |
筋肉の柔軟性 |
伸張テスト、可動域評価 |
IFPの癒着 |
触診、エコーによる滑走評価など |
5-2. 介入
- 物理療法:温熱、超音波、マッサージによる筋の柔軟化
- 運動療法:関節可動域訓練、筋膜リリース
- 鍼灸:半膜様筋、膝窩筋、鵞足筋へのアプローチ
- 手技療法:IFPや半月板の滑走改善
6. まとめ
項目 |
要点 |
SHMの本質 |
膝完全伸展時の脛骨の外旋 |
解剖的要因 |
骨形態、靭帯、半月板、筋肉が関与 |
制限因子 |
関節変形、半月板損傷、筋短縮など |
臨床応用 |
疼痛、伸展制限、歩行障害の原因を探るヒントに |
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